15,
2010


見慣れない段ボールを開けたら、こんなものが出て来て見入ってしまいました。尾崎豊さんのフィルムコンサート用のパンフレットで1986年にデザインしたものです。こうしてみるとずいぶん尖ったデザインをしていた気がします。アーティストにチカラがあるときは何をやっても許されるもので、その辺りのちょっとした傲慢さも随所に感じられます。ミラーコート紙にスミ一色で刷られた表紙にはプラスとマイナスの記号をコンセプチュアルに使い、扉にはトレーシングペーパーを二枚使ったり、本文用紙には上質のロストン紙とやりたい放題のデザインと贅沢な造本をしています。しかしこれはこれであの時代としては成立していたから不思議な気もします。十代で3枚のアルバムを出した後に活動を停止し真っ白の状態になってしまった尾崎さんを無意識に記号化したのかも知れません。写真は日比谷野音、大阪球場、代々木オリンピックプールなど伝説となった公演を撮ったものを使っています。 (Tajima)